「今月のプロブレム」2025/4解答

☆「今月のプロブレム」、4月の出題分、解答者は先月に引き続いて10名と好調でした。 
☆本欄ではキング=K、クイーン=R、ルーク=R、ビショップ=B、ナイト=S、ポーン=Pという表記を用いています。

Norman A. Macleod
The Problemist 1978
White Ke1 Qa3 Ra1a2 Bc3 Sf6 Pb4d4 Black Kf3 Pf4
#2
1.0-0-0! threat: 2.Bc3-a1 # 2.Bc3-e1 # 2.Rd1-d3 # 1...Kf3-e3 2.Bc3-a1 # 2.Bc3-e1 # 1...Kf3-g3 2.Bc3-e1 #
☆正解は、1.0-0-0!のキャスリング。白のKとRがキャスリングできる位置にあれば、まず考えてみたい手です。
☆こういうキャスリングが関係する問題では、なぜ1.Rd1?がだめなのかを考えることが定跡です。この場合には、1...Kg3と逃げられたときに、e1の地点(つまりKがいる位置)を空けなくてはならない、というのがポイントです。
長谷川大輔:バッテリーがすぐ目につき、始めKf1でやってみましたが黒Ke3の時メイトにならず。他の手も一つ一つ試しましたがどれもメイトできず悩んでた時にキャスリングを発見しました。勉強始めて以来キャスリングを使う機会がほとんどなかったのですっかり忘れていました。
Tomonari Motegi:キャスリングができる事に気付けるかどうかが鍵だとおもいました。大河内悠登:初形でQ-sideのキャスが可能である点に気付くまで時間が掛かりました。a1にBを引きたいなぁと考えていたら閃きました。
清田正夫:K をどう動かしても詰まず、長考の末にキャッスリングを思いつきました。
井上聡美:あ⤴️⤵️
☆ところで、本作には大きな欠点があります。それは1...Ke3に対して、2.Ba1#か2.Be1#のどちらでも詰むこと。これはデュアルといって、不完全扱いをされることもあるほどのマイナスです。
☆作者の意図としては、「e1とa1のマスを同時に空ける」というのがキャスリングの意味だとしたかったはず。ところが、Rd1がd4に利くという効果も持っているため、このデュアルがどうしても消せないのでした。
☆この作品のスキームをそのままにして、デュアルがないような図が作れるかどうか、一度考えてみてください。そういう問題を考えることで、創作への道が開けます。
正解者(到着順)……井上直哉、長谷川大輔、Tomonari Motegi、大河内悠登、川辺治之、清田正夫、佐々木真理、井上聡美
☆初参加の井上直哉さんには『チェス・プロブレム入門』またはProblem Paradise誌のバックナンバーを贈呈します。